南海電鉄の特急「ラピート」の台車で昨年8月に亀裂が見つかった重大インシデントで、台車を製造した日本製鉄は26日、大阪市内で記者会見。作業が特殊な内容だったのに、社内の部署間での連携が不十分で、指示が徹底されていなかったことが原因と説明した。
同社は平成17~19年、ラピートの台車に補強材を取り付ける作業を実施。同社によると、補強材は他の一般的なものと比べて小型だった。溶接の強度を上げる特殊な方法が必要となったが、従来と異なる部署が担当したため、手法を決めた部署から現場に正しい情報が伝わらず、溶接部分に欠陥が生じたという。
重大インシデントを受け、同社は他の鉄道会社向けも含む過去の補強作業の記録を精査。ラピート以外では問題は見つからなかった。
同社は再発防止策として、重大インシデントにつながった手法を禁止。標準と異なる手法を用いる場合は、作業前後に検討会を開き、チェックを重ねることをルール化した。
美濃部慎次・交通産機品事業部長は会見で、「台車メーカーとして重大な問題と捉えている。再発防止策を徹底し、さらに安全性の高い台車を提供できるよう取り組んでいきたい」と話した。