KDDI(au)の高橋誠社長は25日、フジサンケイビジネスアイのインタビューに応じ、武田良太総務相が20日の閣議後会見で携帯電話大手にさらなる料金値下げ対応を迫ったことに「とりあえず静観する」考えを示した。総務省が推進中の携帯事業者間の乗り換え促進策に「矛盾している」と指摘した。
KDDIとソフトバンクは政府の要請を受け、10月末に格安ブランドで低料金プランを導入して対応すると発表。武田氏は当初、一定の評価をしてきたが、先週末に突如「多くの方が契約する主力ブランドでは新プランが発表されておらず問題だ」「羊頭狗肉」などと強い言葉で批判した。
総務省は乗り換え手続きの簡素化や費用の低廉化など大手から格安ブランドや格安携帯事業者に移行しやすい環境を整備中だが、武田氏の発言で利用者が「大手の主力ブランドの値下げが実現される」と考えれば移行は起こらない。高橋氏は「議論が飛んでおり、さすがに、はい、分かりましたとはならない」と述べた。
ただ、NTTドコモが12月に政府要請に対応する値下げを発表するとみられており、「競争力のあるものだったら当然闘う。ドコモ次第」と主力ブランドの値下げにも含みを持たせた。
一方、NTTによるドコモの子会社化をめぐっては「競争政策と真逆の独占回帰が起こることに違和感を覚える」と批判。12月3日に総務省の有識者会議で公正な競争環境確保に向けた議論が行われる予定だが、高橋氏も会合に参加し「通信各社が利用するNTT東日本・西日本の光ファイバー設備のフェアな利用条件なども提案する」方針だ。