最先端技術をめぐる国際競争は激化している。日本も不正競争防止法を改正して罰則を強化しているが、さらなる対策は急務だ。
企業側の意識改革も欠かせない。今回、新たな産業スパイの手口が明らかになったのは、積水化学が府警に告訴したからだ。
日本では、情報漏洩が発覚しても「身内の恥」として泣き寝入りする場合も多かった。しかし、事件化しなければ罰則も意味をなさない。積水化学は情報管理が不十分だった面もあるが、被害企業として毅然(きぜん)とした対応をしたといえる。
流出防止の対策を徹底しつつ、違法行為があれば司法の場でしかるべき措置をとる。こうした積み重ねによって国全体で危機意識を高めなければ、中国の老獪(ろうかい)さに対抗できない。(野々山暢)