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GAFA規制 一気に進む可能性も

 米主要メディアが米大統領選で「勝利した」と報じた民主党のバイデン前副大統領が政権につけば、グーグルやアップルなど「GAFA(ガーファ)」と呼ばれる米巨大IT企業への規制強化の流れが一気に進む可能性がある。規制強化の声は民主党の方が強硬とされているためだ。ただ米国経済を牽引(けんいん)してきたGAFAへの過度な介入は、米国の成長を鈍化させる恐れがあるほか、安価で便利なサービスの提供を受けてきた消費者の利益も阻害しかねない。

 米国政府はもともと自国企業保護の観点からGAFAへの規制には慎重だった。それが4年前の大統領選でソーシャルメディアを利用した偽情報の拡散が問題となったほか、フェイスブックによる大量の個人情報の流出などが明らかになりGAFAに対する批判的な見方が拡大。また、巨大になりすぎたことで、独占により市場をゆがめるなどの悪影響も顕在化し始め、規制強化を求める声が高まった。

 今年10月には下院司法委員会がGAFAがデジタル市場を独占的に支配し、競争を妨げているとする報告書を公表。司法省も独占禁止法(反トラスト法)に違反しているとして、グーグルを提訴した。GAFAの分割論もささやかれ始めている。

 みずほ総合研究所の安井明彦欧米調査部長も「GAFAなど巨大IT企業への規制強化の流れは今後も続くだろう」と話す。ただ実際に米国がどこまでに踏み込んだ対応をとるかは見通せないという。規制強化により、GAFAの提供するサービスの質が低下するようならユーザーの反発を招く恐れがあるほか、急成長している中国IT大手とのデジタル覇権争いで後塵(こうじん)を拝すことにつながりかねないからだ。

 ただ、ビジネスモデルの見直しを迫られるような規制や分割が行われれば、デジタル経済のあり方が根本的に変わることになる。後れをとる日本にとっては巻き返しの糸口となる可能性も秘めており、安井氏は「ゲームのルールが変わる状況を見極め、対応していくことが重要だ」と話している。

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