携帯電話大手3社の令和2年9月中間連結決算が4日に出そろい、全社の営業利益率(売上高に占める営業利益の割合)が20%を超えた。だが、もうけすぎとの批判から携帯料金の値下げ圧力が強まっており、今後は第5世代(5G)移動通信システムのエリア整備のための投資もかさんで収益が圧迫されるため、高収益の維持は容易ではなさそうだ。
「収益源の多様化が進み着実に成長できた」。ソフトバンクの宮内謙社長は4日の決算会見でこう語った。9月中間期は各社とも新型コロナウイルス禍の影響で携帯端末の販売が減少したが、金融や法人向けなど非通信分野が牽引(けんいん)して利益を伸ばし、営業利益率はNTTドコモが24・7%、KDDI23・2%、ソフトバンク24・3%と前年同期から上昇した。
菅義偉(すが・よしひで)首相は電力会社など他のインフラ企業の多くが利益率10%にも満たない一方、携帯大手の利益率が高止まりしているとして料金の値下げを迫る。これに対し、KDDIとソフトバンクは格安ブランドで新プランを導入し、要請に応えると発表。新プランによる収益へのマイナス影響は非通信分野などの成長領域で吸収し、軽微にとどめたい考えだ。
もっとも、値下げは格安ブランドだけで打ち止めにならず、主力ブランドを含めた価格競争が活発化していく可能性もある。また、5Gの本格普及を見据え基地局整備にドコモは令和元~5年に計1兆円、KDDIとソフトバンクは今後10年でそれぞれ計2兆円超を投じる方針。膨大な投資負担をにらみつつ、料金値下げも検討しなければならず、難しいかじ取りを迫られている。(万福博之)