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今年のボージョレ・ヌーボーは陸路輸送 低コスト、環境保全にメリット (2/2ページ)

 大手にも広まる空輸からの転換

 今年は新型コロナの影響で航空会社が大幅減便していることなどを受け、輸送便を確保できるように現地で出荷可能日が早まったことも、陸送への切り替えを可能にした。徳岡では8~9月に実際にワインを列車に積み込んで運ぶ実験を行い、品質管理に問題ないことを確認。徳岡さんは「本番での失敗は許されない。これは大きな賭け。これがうまくいけば大手にも陸路切り替えを働き掛けたい」と話す。

 キリンホールディングス(HD)子会社で、大手輸入業者メルシャンも、一部の商品をフランスから日本までの船便で運ぶ。12月上旬に到着する予定で、同HDの広報担当者は「店頭に並ぶのが遅れても、ゆっくり手頃な値段でボージョレを楽しみたいというニーズに対応できる」と話す。

 企業が、環境保全や社会問題への積極的な取り組みを求められている時代に温暖化ガス排出量を削減できるのも魅力。同HDでは来年以降の、船便輸送の活用を検討している。ボージョレ・ヌーボーが陸路、海路で日本に届く動きは今後広がりそうだ。

 関西国際空港には今年のボージョレ・ヌーボーが到着している。23日に関空での初荷を運び入れたサントリーワインインターナショナルは輸送手段について、「基本的に空輸以外は考えていない」としている。

 空輸にこだわる理由として、同社の稲葉響子・輸入ブランド部課長は「現地でしっかりワインを熟成させてから出荷したい。鉄道では輸送の日程が読み切れず、万が一、解禁日に1日でも遅れては元も子もない」と説明する。

 ただ、今年は新型コロナウイルスの影響で出荷の日程などが不透明だったため、一部商品を香港まで空輸して船便で東京まで運ぶなどのリスク分散を行ったと明かす。

 新型コロナの影響が心配されてきた今年のボージョレ・ヌーボーだが、「果実の香りと余韻が残る芳醇(ほうじゅん)な味わいに仕上がった」という。

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