サービス

3密回避で新業態展開を加速 外食大手、宅配定期購入や専門店併設

 新型コロナウイルスの感染防止策の3密回避を通じて家庭での食事や自宅近辺での外食を優先し、遠出の外食を避ける食事スタイルが広がる中、JR東日本による最終列車の発車時刻繰り上げは、こうした食生活をさらに後押しする可能性がある。営業自粛要請や外食回避の動きで苦境に立つ居酒屋やレストラン業態では、政府の支援事業「Go To イート」で客足は戻りつつあるものの、生き残りをかけて宅配や新業態立ち上げの動きを加速させている。

 「(夜遅くに始まる)2次会需要はまだ戻っていない。大人数の宴会も元に戻るにはしばらくかかる」。居酒屋「塚田農場」などを展開するエー・ピーホールディングス(HD)の米山久社長は現状についてこう話す。

 同社は居酒屋やレストランで提供しているメニューを家庭向けに宅配する「キッチンクラウド」事業を本格展開させる。選べるメニューは100種類程度と幅広く、調理場から直接配送するのが売りだ。将来的には定期購入モデルも導入して中食需要を取り込み、新たな収益源を確立させる。既存の店舗を活用するため、今後3年で居酒屋40~50店の宴会席を宅配事業向けスペースに転用。提供時には料理を皿に盛り付けて自社配送し、提供価格も抑える。

 新型コロナで休業を余儀なくされた居酒屋業態では、大手のワタミが直営の居酒屋店舗約3割を焼き肉店へ業態転換する。串カツ業態の串カツ田中HDは、商業施設のフードコート向けの新たな飲食店ブランドの展開を始めた。

 家族連れが支えてきたファミリーレストランも新型コロナで影響を受けた。すかいらーくHDは今月中旬、「ガスト」既存店にから揚げ専門店「から好し」を併設させる展開を開始、約100店が衣替えした。店内飲食、持ち帰りや宅配も両ブランドで対応、2021年3月末までにガスト1140店が併設店舗になる予定だ。セブン&アイ・フードシステムズの「デニーズ」は宅配と持ち帰り強化のため、座席なしの宅配・持ち帰り専門店を開業した。(日野稚子)

Recommend

Ranking

アクセスランキング

Biz Plus