アズワン常務商品本部長・山田一人さんに聞く
--足元の受注状況は
「病院や介護施設向け商材が特に好調で、メディカル部門の売上高は前年同期比で約30%増えている。マスクや手袋、フェースシールドなど新型コロナウイルス感染防止対策品の受注が急増したほか、非接触式の体温計や血中酸素飽和濃度を測る『パルスオキシメーター』などバイタルデータ(生体情報)計測機器の販売も好調だ」
--電子商取引(EC)も好調だ
「移動制限やテレワークの普及により、ECサイト『アクセルショップ』の会員登録件数は3月末に比べ25%増の約8万件になった。大手ユーザー向け集中購買システム『オーシャン』の採用件数も着実に増えるなど、EC事業の売上高は前年同期比で約20%伸びている」
--2025年3月期までの中期経営計画を策定した
「連結売上高1000億円(20年3月期は703億円)達成に向けては、商品力のアップが欠かせない。ECサイトの商品掲載数を現在の440万点から700万点に増やす。試薬や素材、電子部品、医療機器などまだまだラインアップ拡充の余地がある。顧客ニーズに応じた商品を国内外から調達し、プライベートブランド(PB)商品も増やして利便性を高めていく」
--コロナ禍で変更した点は
「これまでは『過剰在庫は悪』という認識があったが、ある程度リスクを取りながら在庫を増やすようにしている。マスクなど一時欠品したものもあれば、商品供給できたことで顧客から大変感謝されたこともあり『必要な時に必要なものを必要な数届ける』という卸売商社の存在意義を再認識した。適正在庫を維持するためにも、現場がスピーディーに情報収集し、営業やマーケティング、購買の各部門が綿密に連携することが今まで以上に重要となる」
【プロフィル】山田一人
やまだ・かずひと 同志社大経済卒。1990年井内盛栄堂(現アズワン)入社。取締役営業本部長、同マーケティング本部長などを経て2014年常務。20年4月から現職。大阪府出身。