がん免疫治療薬「オプジーボ」開発につながる研究で、ノーベル医学・生理学賞を受賞した本庶佑(ほんじょ・たすく)京都大特別教授が、製造販売元の小野薬品工業(大阪市)から支払われた特許使用料をめぐり、大阪国税局から平成30年までの4年間で約22億円の申告漏れを指摘されていたことが10日、関係者への取材で分かった。
関係者によると、追徴税額は過少申告加算税を含む約7億円で、意図的な税逃れではないとして重加算税は課されなかった。本庶氏はすでに修正申告を済ませ、全額を納付したとみられる。
オプジーボは、本庶氏らが発見した免疫を抑制するタンパク質「PD-1」の研究成果をもとに小野薬品が実用化。両者は共同で特許を出願し、18年に同社が特許を独占的に使い、本庶氏は対価を得る契約を結んだ。
ただ、本庶氏は対価の配分割合を問題視し、受け取らなかったため、小野薬品は本庶氏への対価約26億円を法務局に供託。国税局は供託金であっても有効な契約に基づいており、本庶氏の所得にあたると判断したとみられる。
本庶氏は6月、小野薬品が特許権侵害があったとして訴えた米製薬会社からの使用料の配分割合が低すぎるとして、小野薬品を相手取り約226億円の支払いを求め大阪地裁に提訴。これに対し小野薬品は「契約に基づいて適切に支払っている」として争う姿勢を示している。