【ロンドン=板東和正】ロイター通信によると、英製薬大手アストラゼネカが英オックスフォード大と共同開発中の新型コロナウイルスのワクチンをめぐり、臨床試験で被験者に副作用が疑われる事例が発生し、臨床試験を中断した。ロイターが8日、米医療専門メディア「STAT」の報道をもとに報じた。
アストラゼネカの臨床試験は米国や英国などで実施されている。副作用が疑われる被験者は回復するとみられているが、症状などの詳細は不明という。ロイターによると、アストラゼネカの広報担当者は「標準の審査プロセスにおいて、安全性を見直すためにワクチン投与を中断した」との声明を発表した。
同社のワクチンは開発競争の先頭を走っているとされ、英国などが供給の約束を得ているほか、日本政府も1億2千万回分の供給を受けることで合意している。
世界保健機関(WHO)が公表した8日時点のリストによると、世界では現在、170以上のワクチンの開発計画が進んでおり、うち、欧米などの34剤は人に投与して安全性や有効性を確かめる臨床試験に入っている。