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関西企業、倒産高止まり 前年比増加幅は全国最多「インバウンド頼み」露呈

 近畿2府4県の企業倒産が高水準になっている。7月の倒産件数は2カ月連続で200件を突破。前年同月比では約17%増となり、全国で最も高かった。背景にあるのは、インバウンド(訪日外国人客)急減による飲食業などサービス業倒産の高止まりだ。新型コロナウイルスの収束が見通せないなか、製造業にも波及しかねない状況で先行きは厳しさを増す。

 東京商工リサーチによると、7月の近畿の倒産(負債額1千万円以上)は213件。件数では関東(303件)が最多だが、前年同月比では関東は1%増で、近畿の高さが際立つ。

 近畿では飲食業が前月は36件と業種別で最多、7月も26件と2番目で、飲食を含むサービス業は84件と最多だった。同社によると、大阪市中心部の飲食店の倒産が目立つという。関西を中心に展開する飲食チェーン幹部は「業界がインバウンド頼みではなかったといえば嘘になる。あぐらをかいていた」と話す。

 令和元年版観光白書によれば、観光消費のうち外国人客が占める割合は大阪府が46・2%で東京都(44・8%)を抑えてトップ。インバウンド依存の高さが「他地域より影響は大きい」(奥達雄・近畿財務局長)要因になっている。

 大阪信用保証協会によれば、4~7月の制度融資の保証申し込みは7万8千件超と、すでに昨年度年間実績の2倍以上。そのうち約6万件を占める実質無利子融資では、飲食業、小売業が目立つという。

 中小製造業への波及を懸念する声も強まる。「春先までの受注で食いつないでいる企業も多い」(関西の地銀幹部)ためだ。今後の受注が鍵を握るが、大阪市内の金型メーカーは「大手の生産計画がはっきりせず、秋以降の受注がいまだに確定しない」と嘆く。

 内閣府が発表した7~9月期の機械受注見込みは4~6月期をさらに下回り、秋以降も生産活動は停滞しそうだ。東京商工リサーチは「時間差で幅広い業種に倒産の波が及ぶ可能性がある」と懸念する。

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