米国が中国通信機器大手、華為技術(ファーウェイ)の制裁強化を打ち出した。ファーウェイは1兆円超の電子部品を日本企業から昨年調達している。日本メーカーへの影響は必至で、ファーウェイ日本法人は取引先の動揺回避に躍起だ。
日本法人は制裁強化について「半導体チップセットが対象であり、それ以外の部品などは含まれない」とするコメントを18日公表した。日本の部品各社の不安を抑える狙いとみられる。
ただ半導体チップセットは第5世代(5G)移動通信システム向け最新スマートフォンの主要部品で、入手できなければスマホ生産自体が停滞し、部品各社の打撃となる可能性がある。
スマホのカメラに用いる「イメージセンサー」を手掛けるソニーは「特定企業についてのコメントは控える」とした。半導体メモリー大手のキオクシア(旧東芝メモリ)は「状況を確認中だ」としている。日本企業が受ける影響の大きさについて、業界関係者は「米政府の判断次第だ」と分析した。
米商務省はメキシコやフランスなど21カ国にある38のファーウェイ関連会社を対象に加える制裁強化を17日発表した。半導体チップセット供給網の遮断を狙う。ファーウェイは自社開発品の製造を委託している世界的メーカーの台湾積体電路製造(TSMC)からの調達が一段と困難になる。台湾の半導体設計大手、聯発科技(メディアテック)など他社製品を買う抜け道も封じられた。
半導体受託製造大手の中国企業、中芯国際集成電路製造(SMIC)では技術レベルが劣るため高度な製品は生産できない。ファーウェイは4~6月期にスマホ出荷台数で初めて世界首位になったが、維持は難しいとみられている。