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規制改革推進会議が自動運転の「限定免許」検討 先行海外勢に対抗

 次世代技術として期待される自動運転の実用化を見据え、政府の規制改革推進会議は自動運転機能を備えた車に限り運転できる「限定免許」の創設に向けた検討を始めた。高齢ドライバーの交通事故対策と絡めて自動運転の普及を後押しするのが狙いだが、実用化に向けたノウハウ蓄積では巨大IT企業などと連携する欧米に後れを取っており、限定免許の実現性や効果は未知数だ。

 7月に閣議決定した規制改革実施計画では、一時停止標識や交通信号を自動識別して車を制御できる技術の開発を前提に「限定免許の対象車両として追加を検討」とした。6月に改正道交法が施行され、衝突被害を軽減するブレーキなどを備える「安全運転サポート車」に絞った限定免許が2022年に導入される。これを自動運転機能に拡充する構想だ。

 欧米では、グーグル系のベンチャー企業が完全無人タクシーの商用サービス試験に乗り出すなど実用化への動きが進む。先行する海外勢に対抗しようと、規制改革実施計画では、自動運転を実験する際の道路使用許可の申請手続きを簡素化し、原則半年が限度だった実験期間の延長を認めることも盛り込んだ。

 ただ、狭い道路が多い日本は自動運転に不向きとされ、国内での実用化には課題が多い。完全自動運転に向けた開発姿勢は国内の自動車各社の間で濃淡があり、新たな限定免許に対しても「(右折可などを示す)矢印信号を感知する技術すらいまだに確立できておらず、時期尚早だ」(大手メーカーの担当者)と懐疑的な声が聞かれる。

 政府は今後、規制改革推進会議の検討状況を踏まえ、所管する警察庁と導入に向けた協議を続ける。

【用語解説】自動運転 運転手の疲労軽減や交通事故防止に役立つとされ、ハンドルやアクセルの一部操作をシステムが支援するレベル1から、全ての操作が自動になるレベル5まで5段階ある。国内ではホンダが今年、高速道路の渋滞時などに前方から視線を外すことができるレベル3に相当する技術の実用化を検討する。規制改革推進会議が創設を求める「限定免許」は、さらに上のレベルを想定しているとみられる。

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