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AI駆使してネット炎上を火消し、新サービス続々

 インターネット上の不適切な投稿などを端緒に、批判や誹謗中傷(ひぼうちゅうしょう)が燃え上がるように殺到する「炎上」。誰しもがSNSに接する今、ダメージは想像以上に大きく、企業経営を揺るがせるケースも懸念される。そうした中、人工知能(AI)を活用してネガティブな投稿を検知したり、デマ情報の拡散からブランドイメージを守ったりするサービスが登場し、好評を得ているという。(土屋宏剛)

 リスクを検知

 《〇〇がうちの店に来た!会員情報から住所もわかる笑》

 勤務先に芸能人が訪れたことを自慢したかったのだろうか。ブランドショップのアルバイト店員がツイッターにこう投稿したところ、騒ぎが瞬く間に広がった。

 投稿から数時間後には、過去の投稿から具体的な店舗名なども特定された。「情報漏洩(ろうえい)なのでは…」「バイトへの教育はどうなってるのか」。勤務先には批判的なコメントも寄せられ始めた-。

 これはリスクモニタリングサービスを提供している、IT企業「エルテス」(東京)が実際に扱った一例だ。

 エルテスのサービスは、ツイッターをはじめとしたSNSなどから取得した情報を、AIや人の目で監視し、初期対応を支援するもの。エルテスによると、この時点で、AIが勤務先に関するネガティブな投稿を複数検知し、分析チームがブランドショップの担当者に報告。さらにエルテス側のコンサルタントチームが、対処方法をアドバイスするなどした。

 これを受けブランドショップ側は、ツイッターやホームページ上でアルバイトによる不適切投稿を謝罪。最悪の事態は回避できた。

 エルテスによると、すでに千社以上が同種サービスを導入。担当者は「早期に手を打つことが重要」と強調する。

 いじめ防止にも

 仮にネット上で本格的に炎上すれば、数百万人が一瞬で悪いイメージを共有。致命的にブランドイメージは低下し、経営を逼迫(ひっぱく)するケースもある。個人経営の場合、倒産に追い込まれる可能性も否定できない。

 そうした現実を反映し、炎上被害を食い止めようとするサービスは、ほかにも相次ぎ登場している。

 ネットセキュリティーの「イー・ガーディアン」(東京)は、商品の評価を投稿できる口コミサイトなどを監視し、デマ情報や不適切な画像などが投稿されていないかなどを監視する事業を手掛けている。「企業のブランドイメージを守ることに貢献できれば」と担当者。企業側の要望次第では、不適切な投稿内容やアカウント情報を収集・保存し、法的措置も支援する。

 ネット上の問題は大人の世界だけの話ではない。子供による「ネットいじめ」も深刻だ。

 学校や自治体と契約し、SNSや掲示板上での特定の児童・生徒に対するいじめの兆候を監視するサービスを提供するのは、ネットセキュリティーの「アディッシュ」(東京)だ。学校現場の誹謗中傷対策に特化した事業で差別化を図る。

 炎上対策の重要性

 「一度炎上すると、被害規模はコントロールできるものではない」と解説するのは、炎上被害に詳しい国際大学グローバル・コミュニケーション・センターの山口真一准教授だ。

 ネット空間には一方的で攻撃的な意見が集まりやすい傾向があり、過度に社会的制裁が加えられるケースもある。山口氏は「炎上から身を守る方法を必要とする企業や個人が増えているのだろう」と指摘している。

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