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5Gスマホ、コロナ禍で売れず 割安端末などで商戦転換

 携帯電話大手によるスマートフォンなどの端末販売が、令和2年4~6月期に前年同期比1~3割減となった。新型コロナウイルスの感染拡大に伴う販売店での営業時間短縮などの影響を受け、落ち込みが鮮明になっている。3月に商用サービスが始まった第5世代(5G)移動通信システムでも出ばなをくじかれた形で、今後は割安な端末の投入などを進めて仕切り直す考えだ。

 「5Gの本格展開は今秋以降になる」。ソフトバンクの宮内謙社長は4日の決算記者会見でこう語った。

 携帯大手3社は4~6月期に本業のもうけを示す営業利益が増えるなど業績自体は堅調だ。だが、コロナ禍で打撃を受けた端末販売には危機感がにじむ。特に、スタート直後の5Gは「現行の4Gからの移行が予定通り進まず、焦りを感じている」とKDDIの高橋誠社長は話す。

 苦戦の背景にはコロナ禍だけでなく、昨年10月に電気通信事業法が改正され、端末の大幅な値引きが規制された影響もある。5G端末は10万円を超える高額なものが多く、安価に販売できなくなったからだ。

 携帯大手にとって超高速大容量通信が可能になる5Gへのシフトは、1契約あたりの月間平均収入を高められるカギを握っており、立て直しは急務となる。 

 「お手頃な端末を早期に出したい」(NTTドコモの吉沢和弘社長)。各社とも5Gでの巻き返しに向け、価格が5万~8万円クラスの端末を投入し、消費者を取り込む。

 今秋には米アップルが人気機種「iPhone(アイフォーン)」での5G端末発売を計画しているとされる。各社が推進するサービスエリア拡大とともに端末の選択肢が大きく広がれば、5Gが一気に普及する可能性もある。(万福博之)

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