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注目のベトナム不動産投資 ハノイ近郊の温泉リゾートに日系企業参入

 ベトナムへの不動産投資が注目されている。高い経済成長を背景に、外資企業の進出が増加し、観光業の伸長も著しいからだ。日本の不動産会社もベトナムに進出している。新型コロナウイルス対策でも、「優等生」と話題のベトナムで、不動産投資は今、どうなっているのか。

 力強い内需に着目

 新型コロナウイルス感染封じ込みを徹底した対策で成功し、死者が依然ゼロのベトナム。世界でも「新型コロナ対策の優等生」として、大いに注目されているが、不動産投資も同様だ。

 アジアの新興国での不動産投資に詳しいアナリストは、ベトナムの将来性について「土地の所有権などの法整備は、現在進行形で進んでいる状態だが、外資系企業も相次いで進出しいる。他国と比較して、安定的なインカムゲインだけでなく、キャピタルゲインも狙える」と話す。

 なぜ、今、ベトナムへの投資が熱くなり始めたのか。日米欧など世界経済が軒並み新型コロナの直撃を受ける中、ベトナムは例外だ。2020年の国内総生産(GDP)成長率は、下方修正を余儀なくされながらも、依然、3.6~5.2%を見込む。

 さらに、GDPの7割以上が国内消費という内需の力強さ。都市部の外資系企業の就労者が増え、中間所得者も増加している。加えて、国内だけでなく、外国人向け観光業も成長率が著しいのだ。

 「ベトナムは今、就労者の比率が増える“人口ボーナス期”に当たり、高い経済成長率を維持している。首都ハノイは地方からの流入も加速しており、不動産投資への関心も高い。この点でもアジアの新興国で優等生だ」と、大和コーポレート(大阪市中央区)の塩見恭浩社長。

 同社は10年ほど前から、ベトナムの高い経済成長率に着目、11年にはハノイに現地法人「ハノイリビング」(田口庸生社長)を設立し、邦人向けに賃貸不動産を仲介するなどしてきた。現在は「売買事業も含め、ハノイでは日系のお客さま取り扱い数でトップ」(塩見社長)という。

 こうしたベトナムでの実績を背景に、同社は昨秋、ベトナムの「温泉フジトラベル」と、北部の温泉リゾートの日本人向け販売窓口契約を締結した。温泉フジトラベルは、ハノイ近郊で計画されている五つ星の大規模温泉リゾートホテル(地上32階、地下1階、9160平方メートル)の事業主で、22年3月の完成後は米ホテル大手のウインダムホテルグループが運営を担当する。

 オンラインでPR

 今回の提携により、大和コーポレートの現地法人は、ホテル全2100室のうち500室について、50年の長期使用権付きコンドテル(コンドミニアムホテル)として、日本人向けに販売する。約32平方メートルの1ベッドタイプが個室温泉付きで約790万円。10年間・年10%の利回り保証があり、購入者には、年間30日の無料宿泊の特典が付いている。

 「これまでベトナムのリゾート案件は、沿岸部のシーリゾートが主体だった。今回は、温泉リゾートという大きな特色があり、参入を決めた。ベトナムでも、高所得者の関心が美容や健康に向いていることに加え、ハノイから車で1時間という立地で、周辺には観光資源も豊富。ベトナム国内の需要も十分取り込めると判断した」(塩見社長)

 地下100メートルから湧き出る泉質の分析を大阪府環境衛生課に依頼したところ、「カルシウム硫酸塩泉」で、熊本県の黒川温泉や石川県の山中・山代温泉に近いことが判明したという。

 今年1月末、大和コーポレートは、東京ビッグサイトのイベントに参加。ベトナムの温泉リゾートをPRしたところ、「評判も上々で、既に150件以上の問い合わせや申し込みをいただいている」(同)。

 現在は、新型コロナの影響から、オンラインセミナーを定期的に行っている(日程は同社のホームページを参照、https://daiwacorporate.jp/)。

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