国土交通省は新型コロナウイルスの感染拡大防止に向け、路線バスの混雑状況をリアルタイムで把握できるスマートフォンアプリの開発に関するガイドライン(指針)を作成する方針を固めた。7月中に有識者や事業者で構成する会議を開き、今秋をめどに課題や対応策の在り方などをまとめる。全国のバス会社などが指針を基にアプリを開発し、感染拡大の第2波が警戒される今冬にも導入することになりそうだ。
バスの混雑状況がアプリで把握できると、「次のバスは混雑していて感染が心配だ。その次のバスまで待とう」といった社会的距離を取るための判断が容易になる。鉄道ではJR東日本が混雑状況が分かるアプリを提供しているが、バスでは国内での導入事例はない。
一方、アプリで「混んでいる」と表現される混雑率の程度がA社では80%だが、B社では70%といったように異なると、アプリの情報と乗客の実感が食い違う状況も起こりえる。また混雑状況を把握するためにカメラやセンサーなどを使った場合の個人情報保護の在り方も課題となる。
国交省は令和2年度第2次補正予算で地域公共交通の新型コロナ感染拡大防止対策として138億円を計上。バス事業者がアプリを導入する費用の半分をこの予算で補助する考えだ。