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6月総会「株主提案」最多54社 中長期の視点で企業統治重視

 6月開催の株主総会で「株主提案」を受けた企業が54社と、前年に並び過去最多だったことが分かった。新型コロナウイルスの影響で事業環境の先行きが不透明なことを映し、株主への短期的な利益還元の要求は強くない一方、中長期の成長に向けたガバナンス(企業統治)強化を重視する姿勢が目立つ。

 三菱UFJ信託銀行が、株主提案があった社数を19日時点で集計した。近年は増加傾向で、25社だった2014年の倍以上だ。「物言う株主」と呼ばれる投資ファンドが企業統治改革などを活発に求めているほか、新テーマとして気候変動に関する提案も出てきた。

 米国に拠点を置く投資ファンドは、JR九州の社外取締役として独自に3人を提案。不動産投資やガバナンスなどの豊富な経験を持つ有能な人材が不可欠だと訴えている。

 東レでは、子会社の上場維持が適切かどうか審議して開示することを定款に盛り込むことを国内ファンドが提案。親子上場は子会社の少数株主の利益が損なわれやすいなどとして、企業統治の点から厳しい目が向けられている。

 みずほフィナンシャルグループには、パリ協定の温暖化対策目標に沿った投資を行うための計画を毎年開示するよう、環境団体が提案した。

 三菱UFJ信託銀行法人コンサルティング部の中川雅博次長は、新型コロナが影響して配当を求める向きは強くないとし「内部留保として持つ方が事業継続に有効だと、株主側も理解している」との見方を示した。

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