TCがゼミ開講
コロナ禍の今だからこそ、次代で求められる価値を描くだけでなく、実現する手段としての「イノベーション」のあり方が、日本企業に求められている。こうした中、技術資産活用マネジメント支援のコンサルティングを行うテック・コンシリエ(TC)は20日、「次世代テックリーダー養成ゼミ “BUILD”」(第1期)を開講する。電機、化学、通信など大手5社から10人ほどが全12回、24週にわたり、テレビ会議方式を主体とするゼミナールに参加する。
次世代テックリーダーとは、社内で技術者チームのまとめ役としてイノベーションの提案と推進における調整役を担える人材のことだ。BUILDでは対象者として、知財戦略・企画を行う知財部長、新製品・サービス開発の礎となる開発戦略や技術管理を行う技術企画部門のマネジャーおよび最高技術責任者(CTO)を目指す若手に加え、事業カンパニートップや事業部門のマネジャーまで、幅広い層を含めている。
デジタル技術経営研究所を主宰し、BUILDのコーディネータを務める神庭基氏(AGC元知的財産部長)は日本企業でイノベーションを進める際、「縦(経営層)や横(他部門)の壁を越えようとした瞬間、誰も話を聞いてくれなくなることがある」と話す。結果、提案は構想で終わる。
この点、共催機関としてBUILDの運営を担当する知的財産教育協会の近藤泰祐事業部長は「イノベーションには、誰も見えなかった世界を妄想して見える化すること、それを実現するための手段という二面性がある」とし、構想で終わらせないためには現実の縦横のメカニズムを理解して超える力を次世代テックリーダーに備えることだと指摘する。
TCの鈴木健二郎社長は「相手の立場に立ち、どういう切り口、用語で説明すればいいのか。どこまで言及しないと人の心は動かないのか。これらを考えた上で、提案や推進のストーリーをどう組み立てればよいのかを、BUILDで実践的に学んでほしい」と話す。
第1期の具体的内容は、「スマートシティーで実現される都市の姿」をテーマに、参加者がおのおのの立場でイノベーション提案を策定した後、参加者同士で発表。異業種異部門の意見の中でブラッシュアップする過程で、イノベーション実現へ向けて壁を越えるメカニズムを学んでいく。参加者はゼミでの発表、発言などについて秘密保持契約締結が必要になる。
初回はシスコシステムズ日本法人、鈴木和洋会長の講演「コロナ時代におけるスマートシティと企業の未来開発」がある。最終回は全提案から参加者の投票でグランプリを決める予定。第2期は公募開始を8月中に、開講を9月中で現在、検討中。費用は1人48万円(税別)の予定。(知財情報&戦略システム 中岡浩)