新型コロナウイルスの緊急経済対策として行われる1人10万円の現金給付が大型連休明けの7日、岡山県総社市など複数の自治体で始まった。早期給付を望む声も高まっており、各自治体があの手この手で工夫を凝らしている。他の市区町村でも順次開始される予定だが、人口の多い自治体などは物理的な作業量も多く、対応に苦慮している。
総社市では「経済的に困窮している人に優先的に給付する」(担当者)ため、市のホームページで早期給付の希望者を募集。申し出のあった人や一人親世帯などを最優先に入金を開始した。システム改修を待つと給付が遅れることから、休日返上で職員が手作業で申請書を作成したという。
同市に限らず、各自治体は一日でも早く住民に給付金を届けるためさまざまな工夫をしている。北海道東川町では地元金融機関が10万円を無利子融資で先払いし、後日、国の給付金を金融機関への返済に充てるという独自の手法で、4月30日から事実上の給付を開始した。
千葉県市川市は生活困窮者を対象に、市のホームページから申請書をダウンロードできるようにした。市が申請書を送付する前に申請が可能で、通常なら6月以降の給付が、5月中旬には受け取れるようになる。
ただ、懸念もある。給付を急ぐことによるミスの発生や、本人確認が不十分なまま給付が行われる可能性もあるからだ。総務省の担当者も「各自治体の工夫は否定しないが、給付漏れや二重給付にならないように注視したい」と話す。
一方、対応に苦慮しているのは人口の多い自治体だ。申請書の印刷や、封筒を用意するだけでも一苦労だからだ。180万世帯が暮らす横浜市も外注先の業者選定に時間がかかっており給付時期は未定だ。市の担当者も「住民からは対応が遅いとお叱りを受けている」と困惑する。
各自治体には住民からの問い合わせや、オンライン申請で必要なマイナンバーカードの交付申請なども急増。窓口に来た住民の感染防止対策にも人員を割く必要があり、大きな負担になっている。