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中小企業の資金繰り対策に「永久劣後ローン」を 立教大学名誉教授が提言

 中小企業の資金繰り支援策について、中小企業経営に詳しい立教大学の山口義行名誉教授は、元本の返済期限を定めず、かつ返済順位が低い「永久劣後ローン」の活用を提案している。民間金融機関が永久劣後ローンを扱い、その債権を国や日銀が債権を買い取ることで、資金が中小企業に確実に流れる道筋をつくる。中小企業にとっても金利分のみを数十年の長期にわたって返済すればよいという。

 山口氏は、現在の新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済混乱について、「人と人が会えないことによる経験したことがない不況」と指摘。そのうえで「全世界同時に経済活動が止まり、かつ収束の見通しが見えないなかで、多くの企業で資金繰りが悪化し、資本の欠損を招いている」とした。

 このままでは中小企業のメインバンクである地域金融機関の経営にも悪影響が及ぶと強調。永久劣後ローンの融資対象として「経営破綻により、地域の雇用や経済に大きな影響を及ぼす可能性があるところ」をあげ、モラルハザード(倫理の欠如)を防ぐためにも、「地域金融機関と長く付き合いがあり、財務状況を把握していることが前提」と述べた。

【用語解説】永久劣後ローン

 元本の返済順位が他の債権よりも低く、かつ返済期間が永久であるローン。無議決権優先株に近い性格を持ち、借り手にとっては自己資本の増強に役立つ。一方、借り手に会社更生法が適用されたり、自己破産が起きた場合、返済される見込みが極めて低くなるため、貸し手にとってはリスクが大きい。そのため、他の融資商品よりも貸出金利が高い。バブル崩壊後、過剰な不動産融資が原因で不良債権の処理に苦しんだ銀行などへの公的資金投入の際にも活用された。

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