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人工芝、河川のマイクロプラスチック汚染の原因に

 ピリカ、12都府県調査 テニスコートなどから剥離

 関東から沖縄の12都府県にある73の河川や港などを調査した結果、ほぼ全てで微小なマイクロプラスチックの汚染が確認されたと環境ベンチャーのピリカ(東京)が公表した。計100カ所の調査場所のうち12都府県の75カ所で人工芝の破片が見つかり、よく知られたペットボトルやレジ袋とは別の発生源になっていることが鮮明になった。

 人工芝はグラウンドやテニスコートから剥がれ、側溝などを通じて流れ出たとみられる。小嶌不二夫社長はタイヤや靴底なども発生源になる可能性が高いと指摘し「こうした製品を扱う企業や業界と連携し問題解決に取り組みたい」と話した。

 調査は昨年6~11月、73の河川や港湾、湖の計100カ所で実施。水面付近の水を採取してマイクロプラスチックの有無や量を調べた。愛知県の木曽川と、琵琶湖で調べた4カ所のうち1カ所を除く98カ所で見つかった。都市部のほか郊外や農村部でも検出された。

 人工芝の破片は、今回確認されたマイクロプラスチック全体の量の14%を占めた。芝の上を人が動き回ることで表面が削り取られ、風に飛ばされたり雨に流されたりして、側溝や下水道を通じて河川などに出た可能性が高いとする。人工芝は同社の2018年の調査でも見つかった。

 農業が盛んな地域では、肥料を包むカプセルの破片も確認された。田んぼの水を入れ替える際に川や水路に流出したとみられる。富山県の小矢部川と石川県の犀川では、検出された量の約60%がカプセル由来だった。

 東京湾や千葉県の水路、富山県の漁港では採取した水1立方メートル当たり100個以上と大量にマイクロプラスチックがたまっている場所もあった。ブルーシートやロープの破片も各地で見つかったが、元の製品が分からないものも多かった。

【用語解説】マイクロプラスチック

 大きさが5ミリ以下の微小なプラスチック。包装容器などのプラスチック製品がごみとして川や海に流れ込み、紫外線などによって壊れて細かくなって発生する。世界各地で魚介類や塩、水道水、人の便からも見つかっている。環境中の有害な化学物質を吸着する性質があり、誤飲した鳥や魚、ウミガメなどへの影響が懸念されている。

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