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J3秋田、新スタジアム建設へ 地域の健康づくりに貢献 逆境を好機に

 サッカーJ3のブラウブリッツ秋田(秋田市)が新スタジアム建設をめぐり、逆境を好機に転換しようと模索を続けている。J2昇格には1万人を収容できる本拠地が必須だが、候補地選定の難航から計画は停滞。しかし岩瀬浩介社長(38)は、秋田の事情を逆手に取り「スタジアムでの健康づくり」をテーマに「地域に貢献できる競技場を建設したい」と前向きだ。

 機運の高まりは2017年。秋田はJ3で優勝したが、J2昇格を果たせなかった。当時の本拠地「あきぎんスタジアム」の収容人数が約5000人にとどまっていたことが最大の障壁となった。

 秋田県は18年4月、秋田市や地元財界が加わる新競技場建設に向けた協議会を設置。検討を重ね、絞り込んだ3カ所の候補地は、今年2月の最終報告書で「既存施設の移転を伴う」「敷地の広さ不十分」などとしていずれも「不適」に。議論は振り出しに戻った。

 現在は「ソユースタジアム」(約2万人収容)を仮ホームに、J2ライセンスの特例付与を受ける。一方、継続したライセンス取得には「スタジアム整備」が必要不可欠で、議論白紙化はチームの将来に大きく影響しかねない。

 市は、JR新駅設置や大型ショッピングモール建設の動きがある、秋田駅北約3キロの「外旭川地区」を新たな候補地に挙げ、次期都市計画に盛り込む可能性を示す。

 岩瀬氏が建設を目指すのは屋根付きの球技専用スタジアムだ。風雨をしのぐ屋根、観客席とピッチ間に陸上トラックを挟まない臨場感-。J1G大阪やJ3北九州が入場者数を増加させた「実例」がある、近年のトレンドだ。

 費用負担への懸念や「サッカーにしか使えない」と効果を疑問視する声に、岩瀬氏が温めるのが「短命県」とされる秋田ならではの運用策だ。

 スタジアム外縁部に屋根や照明付きの通路を設け、試合日以外の利用を促すほか、ウオーキングやランニング教室を定期的に開くことで、県民の健康向上への貢献を思い描く。

 試合日に街が祭りの雰囲気に一変するJ2岡山や、緑一色に染まるJ2松本の運営に憧れる岩瀬氏。「『ブラウブリッツのおかげで、地域が盛り上がっている』と言われるくらい、クラブ価値を高めたい」と意気込む。

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