3月の平日昼間のインターネットのデータ通信量が、一部の通信事業者で前月に比べて約3割増加していることが分かった。新型コロナウイルスの感染拡大を受け、在宅勤務や一斉休校により、テレビ会議や動画視聴が増加した影響とみられる。今のところ大手携帯電話各社の通信量は目立った増加はみられないが、今後、巣ごもり需要に対応したサービスが増えれば、各社の収益にプラスの影響が出る可能性もある。
顕著な増加がみられたのはNTTコミュニケーションズが提供するインターネットの光回線。在宅勤務が広まった2月下旬以降、増加傾向が続いているといい、3月の平日昼間のデータ通信量が、前月比で約3割増加。通信量が最も多くなる午後9~10時台の通信量も約1割増加しているという。同社はインターネットの接続時間が増えていることに加え、オンライン学習などデータ通信量の多い動画視聴が増加していることが要因と分析する。同社によると、通信量は増えているものの通信障害が懸念されるようなレベルではないという。
光回線は定額制のため、通信量が増えても同社の収益には直接大きな影響はないとみられる。一方、携帯電話の通信量は、NTTドコモ、KDDI(au)、ソフトバンクの携帯電話大手3社とも「目立った変化は出ていない」とする。ただ、「(通勤時のインターネット接続と思われる)午前8時台の集中が緩和されている」(KDDI)と利用動向に変化も出始めている。
新型コロナの感染拡大を受けオンライン学習以外でも、ゲームや動画配信など自宅で過ごす人たちを狙ったサービスは増えている。動画視聴の増加などによって、携帯プランを大容量のものへと切り替える人が増えることも予想され、収益増へ思わぬ追い風となる可能性がありそうだ。