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株主総会開催に企業苦心 マスク着用、展示物の中止

 新型コロナウイルスの感染拡大を受け、企業が株主総会の対応に苦心している。会社法は総会を開く場所を必ず設けるよう定めており、一般の発表会や記者会見のようにインターネット中継だけで済ませることができないためだ。さまざまなイベントが自粛となる中、各社はマスク着用の徹底や展示物の中止で総会を感染源にしないよう細心の注意を払う考えだ。

 多くの企業は決算日から3カ月以内に総会を開催。3月に定時株主総会を開くのは400社以上で、全上場企業の1割強に当たる。ピークの6月には2000社以上が総会を開く予定で、経済産業省は実務への影響について実態把握に乗り出した。東日本大震災の際、経産省は開催時期の3カ月延期を容認する指針をまとめていた。

 3月25日に総会を開くヤマハ発動機は役職員がマスクを着用し、会場にアルコール消毒液を置く。飲み物の提供や製品展示、総会後の施設見学会も取りやめる。キリンホールディングスは座席の間隔を広げ、資生堂は別の会場も用意する。

 IT企業のGMOインターネットは規模を縮小。システム開発の富士ソフトは、株主が総会会場に来なくても議案への可否投票や質問が当日にできる「ネット出席」を導入した。

 法務省は総会の開催時期について「合理的な期間内に開催すれば足りる」として、決算期末から3カ月より後への延期も可能とする見解を示す。ただ延期するには、株主の権利基準日の変更や大きな会場の再確保など実務上難しい面がある。企業関係者は「延期したとしても(コロナウイルスの勢いが)いつ収まるか分からない」と不安を打ち明けた。

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