デジタル経営革命新時代(2-1)

DX活用しデータを付加価値に (1/2ページ)

 □STANDARD代表取締役・安田光希氏×日本工業新聞社社長・鶴田東洋彦

 デジタル化が経済社会を大きく変えようとしている。もはや未来は、これまでの延長線上には描けない。これまでの慣習やノウハウ、組織体制は通用しない時代に差し掛かっている。デジタル時代に向けた改革は、あらゆる企業や組織にとっても緊急かつ重要な課題だ。多くの企業で、デジタル時代に対応する改革「デジタルトランスフォーメーション(DX)」が進む。その現状や展望、課題について、大手企業350社以上とDXに取り組んでいるSTANDARD代表取締役の安田光希氏とフジサンケイビジネスアイの鶴田東洋彦が意見を交わした。

 テレビを見ない世代

 鶴田「経済産業省が2018年に『デジタルトランスフォーメーション(DX)に向けた研究会』を立ち上げるなど、企業はDXを進めて変革していかなければ生き残れないという認識が時代の流れとなりつつあります。ただ、私自身もそうなのですが、DXとはいったい何なのか、よく理解できていない人が多いのではないかと思います。そもそもデジタルトランスフォーメーションの頭文字はDTのはずなのに、なぜDXと略すのかというところから分からない。安田さんは、日本企業350社以上に、DX・AIの推進を支援する事業をしていて、非常に若い感性で、客観的に今の産業界の動きを見ておられると思いますので、まずは、そうした人たちに対して、DXとは何か、どう捉えていくべきかといったところからお話しいただければと思います」

 安田「私自身、企業でDX・AI活用の推進をされている方々と1000人以上お会いしてきた中で同じような質問をいただきます。ただあえてお伝えすると、私は、DXの定義といったようなことは正直、どうでもいいのではないかと考えています。この紙面を読んでいらっしゃる経営者の方にお話しするなら、もっと簡単に捉えましょうと言いたい。今はデータがたくさん集められ、AIを含めデジタル技術が活用しやすい時代です。それらを適切に利用すれば、顧客への付加価値を生み出し社会にインパクトを与えることができます。実際に海外企業を中心に収益につながった多くの事例が出ています。日本の企業の多くは経営理念の中で『お客さまのために』とうたっていますから、その理念にいま一度向き合って、いかに多くの付加価値を生み出すかを考えるべきです。そうすれば、データやデジタル技術はそのための手段でしかないということに気づけます。そこに気付き、早く行動しましょうということに尽きます」

 鶴田「なるほど」

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