性的少数者(LGBTなど)の生活をサポートするサービスが次々に生まれている。職場の紹介や部屋探し、老後の相談など内容はさまざま。多様な性を認め、誰もが暮らしやすい社会を実現しようとしている。
「仕事や給与が同じなら、LGBTにフレンドリーな企業で自分らしく働いた方がいい」と語るのは、ベンチャー企業「ジョブレインボー」(東京)を経営する星賢人さん(26)。昨年3月、性的少数者向けの就職・転職情報サイトを本格的に始めた。
性同一性障害で戸籍を男性に変えても履歴書に「女子大卒」と書けば、いや応なしに「カミングアウトすることになる」と星さん。配偶者として同性パートナーを認めている企業などを積極的に紹介しており、サイトにアクセスしているのは月に約40万人に上る。
同社を通じて「大橋運輸」(愛知県瀬戸市)に転職した20代会社員は「LGBTの先輩が同じ職場にいるので、気楽にパートナーの話ができる」と喜ぶ。
不動産情報サービス「ライフル」(東京)はLGBTや高齢者ら住宅弱者に理解がある不動産会社を調べられるサイト「フレンドリードア」を昨年11月にスタートした。
同社のアンケートでは、LGBTの約25%が賃貸物件の内見や契約の際に不便を感じ、困ったと回答。「ゲイ2人が入居できるのは人気がなく、古い物件しかなかった」との悩みも寄せられた。
立ち上げに関わったライフルの●軼群さん(33)は中国生まれで日本育ち。親戚やLGBTの友人が家探しに苦労していたといい「嫌な思いをするのではという不安を拭い去りたい」と願う。
サイトに掲載されている不動産賃貸仲介「ネクストライフ」(東京)の尾形素司さん(39)も「(大家への説明の際に)こうした取り組みがあるのはありがたい」と歓迎する。
各分野の専門家が連携して老後を手助けする試みも。昨年12月に誕生した「ラムダ」(東京)は、内科医と社会福祉士、終活の専門家の3人を中核にしたグループ。それぞれの得意分野を生かし、年老いた性的少数者の相談に乗っている。
高齢の性的少数者は、親族と疎遠になっていたり、未婚で子供がいなかったりして孤独になりがちだという。「家族代わりの存在が必要」と、社会福祉士の前田邦博さん(54)は言う。
終活カウンセラーの久保わたるさん(34)は、九州出身の男性と任意後見人契約を結び、男性が経営していたゲイバーの閉店手続きを代行した。「チームでLGBTの老後を支えるのがコンセプト。ヘルプの声を出せない人にも届く活動になれば」と意気込んでいる。
●=龍の下に共