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観光バス事業者が乗客減で窮地 新型肺炎直撃、給料確保へ車売却も

 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて関西の観光地を巡る貸し切りバス事業者が窮地に陥っている。世界遺産の京都や奈良の文化財などを巡る外国人観光客の利用がほぼなくなったことに加えて日本人も不要不急の外出を控えて予約が入らない状況が続く。神戸市のクルーズ会社がキャンセル続出で経営破綻するなど、特に中小企業は厳しい状況で「このままだと会社が持たない」と悲鳴が上がる。

 中国人向けを中心に貸し切りバスを運行する日本城タクシー(大阪市)は、2月に入ってから予約が激減した。坂本篤紀社長は「日本人を乗せる仕事を取ってきても、その後に『外出を控えることになった』とキャンセルになる」と危機感を募らせる。従業員の給料を確保するため10台あるバスのうち3台を売却した。坂本社長は「早く落ち着いてほしい」と窮状を訴えた。

 観光バスやタクシー事業を展開する商都交通(大阪市)でも予約キャンセルが相次いでいる。学校の部活動や遠足などでの利用も多いが、政府が小中高校の一斉休校を要請したことで、さらなる予約落ち込みも予想される。担当者は「繁忙期に当たる4月の桜のシーズンまでには収束してほしい」と声を落とした。

 利用者の急減だけでなく、ウイルスの感染対策も急務の課題となっている。エムケイ観光バス(京都市)の担当者は「運転手に着用してもらうマスクの入手に苦労している」と焦る。しばらく混乱は続きそうだ。

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