経済インサイド

波紋呼ぶ明治アイスの賞味期限設定 食品ロス削減の潮流に逆行で戸惑いの声 (2/2ページ)

 担当者は「食の安全」や「消費者の声」の2点を繰り返し強調した上で、食材を必要な家庭や施設へと橋渡しする「フードバンク」との連携強化を進めるとしたが、「これまでの高い保存性を自己否定するに至ったのはなぜか」について明確な回答はなかった。

 「2年」という期限についての説明にも歯切れの悪さが残った。

 明治は海外事例を基に、平成28年から保存試験を実施。「2年で品質劣化が少ないことが確かめられた」とするが、「3年では劣化がみられたのか」といった報道陣の質問には「試験は2年で終えた」と回答。28年時点は食品ロスの話題が現在ほど盛り上がっていなかった点を踏まえると、試験が「いつまで品質保証ができるか」ではなく、期限設定ありきで進められたことが見て取れた。

 他メーカーも明治に追随する動きはないようだ。あるメーカーの担当者は「安全性が法令で担保されている」と、現状では検討もしていないという。別のメーカーの担当者は「表示すべきは賞味期限ではなく、なぜ品質劣化が少ないのかの説明にすべきでは」と、トップメーカーの不可解な決定に首をかしげる。

 食品ロス問題に詳しいジャーナリストの井出留美氏は「たとえばデンマークでは、牛乳のパッケージに賞味期限の意味を表示しており、それが食品ロス削減に貢献する企業の啓発活動」と事例を挙げた上で、「世界の潮流が賞味期限の簡略化に動く中、あえて賞味期限を表示する明治の方向性は意外」と話している。(佐久間修志)

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