リーダーの視点 鶴田東洋彦が聞く

ケンミン食品・高村祐輝社長(2-1) 関東重点に環境整備 (1/2ページ)

 米粉100%ビーフンや「ケンミン焼ビーフン」で知られるケンミン食品(神戸市中央区)が2020年3月に創業70周年、焼ビーフン誕生60周年を迎える。ビーフンを広めたパイオニアとしてノンフライ麺、血糖値の上昇を抑える低GI、小麦アレルギーを起こさないグルテンフリーといった価値をアピール、世界的な健康志向の高まりを好機ととらえ市場開拓に乗り出した。3代目の高村祐輝社長は「社会と人の役に立つ会社を目指す。企業価値の向上が私の役割だ」と強調、社員とともにビーフンを通じ笑顔と健康、豊かな食生活の実現に取り組む。

 関東重点に環境整備

 --ビーフンの消費動向は

 「市場規模は10年の5670トンから18年は7770トンに増え、年間1億食市場になった。このうちケンミンのシェアは約6割だが、日本人1人が1年間に1回食べるにすぎない。1960年発売の『ケンミン焼ビーフン』は味付けも、ゆで戻しも不要ながら簡単にプロの味が作れると人気で、売り上げは2013年から17年の5年間で1.5倍に拡大。(別添えソース付きではなく)味付けビーフンとして世界オンリーワン、世界一のロングセラー、ビーフンの世界販売ナンバーワンであることから『世界3冠』と認められている。またギネスにもブランド長寿で申請しており、認定される見込みだ」

 --市場開拓は

 「地域別消費を見ると、台湾でビーフンに親しみ、戦後引き揚げてきた日本人の多くが西日本、特に九州にたどり着いたことから西日本での認知度が高く西高東低型といえる。なじみが薄い東日本、中でも関東進出が課題だった。このため、16年に直営レストラン『健民ダイニング六本木』を東京・六本木に開店し、ビーフンの飲食機会を創出した。また東京支店(横浜市鶴見区)の人員を増強するとともに、顧客開拓に重点的に取り組める環境を整備した。得意先向け商談や消費者向け料理講習会などが開催できるように19年3月にアイランドキッチンを併設した商談ルームに改装し、在籍する15人が北海道から東北、関東甲信越の問屋、量販店へのセールス活動やコンビニ、学校給食などへのメニュー提案、各種イベントなどを実施してファンづくりに力を入れている」

 シェフのレシピ発信

 --具体的なマーケティング戦略は

 「ビーフンが食事の選択肢として食卓に上がることを目的に、特に東日本を意識してビーフンの新たな食べ方を訴求したり、新たな顧客層を巻き込む活動を展開したりしていく。ビーフンの価値向上に向けて、70周年を機に新ブランド『お米のめんシリーズ』を立ち上げるほか、料理界の有名シェフによる至高のビーフン料理レシピを発信する。原料がコメなので和洋中のさまざまな料理や食材と合い、素材を引き出す麺といえる。素材そのものが持つ味を邪魔しないので有名シェフも使う」

 社員とともに会社の価値向上図る

 「本場の台湾での食べ方であるスープ専用や、カレー味など今春発売する新商品で新たな食べ方を提案する。4月には国内最大級のキャンプイベントでアウトドアでの焼ビーフンを提唱し、5月には47都道府県の焼ビーフンプロジェクトを発足させる予定だ。ビーフンの食べ方で新しい文化を創出すれば需要は膨らむ」

 --焼ビーフンプロジェクトとは

 「70周年の感謝の意味で、47都道府県の『マルマル県民の焼ビーフン』を商品化する。ビーフンは野菜に最も合う麺といわれ、地域を代表する農産品をメインに加えたビーフン料理を提案し、地域貢献につなげる。第1弾は地元・兵庫県で淡路島産タマネギを使用する予定だ。その後、6月15日の千葉県民の日にあわせて『千葉県民の焼ビーフン』、10月1日の東京都民の日にあわせて『東京都民の焼ビーフン』を企画している。その後は企画検討中で未定だが、関心を持つ県や自治体に『一緒にやりませんか』と呼びかけていく」

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