▼大沼 大沼は1月27日、山形地裁から破産開始決定を受けた。
大沼は江戸時代の元禄13(1700)年創業の老舗百貨店。本店に加え、1967年に酒田店、70年米沢店、71年酒田中町店と順次出店し、地域に根ざした百貨店として地盤を形成。93年2月期には売上高196億6219万円をあげていた。しかし、郊外型大型店舗の台頭や人口減少、消費低迷などから業績が悪化。2001年2月期の売上高は143億6736万円まで低下し、赤字へ転落。
人員削減を含め経費圧縮など立て直しを進めたが、業績悪化に歯止めが掛からない状況が続いた。金融機関の支援を受け営業を継続していたが、18年4月に事業再生を手掛ける投資ファンドのマイルストーンターンアラウンドマネジメントが同社の発行済み株式の全てを取得し、抜本的な再建に着手した。だがマイルストーンの出資金の使途などをめぐり、金融機関や従業員との関係が悪化し再建は進まなかった。
こうした中、19年3月に電撃的に臨時株主総会が開催され、同社の執行役員らが出資する大沼投資組合が経営権をマイルストーンから奪取。同組合や地元支援者による再建がスタートし米沢店の閉店などリストラを進めたが、資金繰りが限界に達し今回の措置となった。
▼エコスポット・ソリューションズ エコスポット・ソリューションズは1月17日、東京地裁から破産開始決定を受けた。
同社は外資系機械メーカーなどの出資により設立。当初は外資系メーカー製の空き缶・ペットボトルのリサイクル用機械の販売・保守を手掛けていた。
しかし、販売が伸び悩み、スーパー店頭などでのペットボトルや古紙回収と輸出に業態を変更。2015年3月期は売上高約1億6400万円を計上したが、近年は廃ペットボトル価格の下落で採算が悪化していた。さらに、17年末に中国がプラスチックごみの輸入制限を導入し、輸出量が大幅に減少。経営も限界に達し、今回の措置となった。
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【会社概要】大沼
▽本社=山形市七日町
▽設立=1947年12月
▽資本金=1億5000万円
▽負債額=約25億円
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【会社概要】エコスポット・ソリューションズ
▽本社=東京都新宿区
▽設立=2002年3月
▽資本金=1000万円
▽負債額=約4億9500万円
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〈チェックポイント〉
大沼の破産で山形県は日本で唯一の百貨店「空白県」となった。消費者の購買スタイルが変化し、かつて地域の旗艦店を誇った地場百貨店のビジネスモデルは岐路を迎えている。人口減少、顧客の高齢化など取り巻く厳しい経営環境のなか、地場百貨店の経営が待ったなしの状況にあることをシビアに示した。
エコスポット・ソリューションズは中国の政策転換の影響を受けた。エコビジネスは注目を集めつつあるが、規制や補助金などが絡み、行政の方針の影響を受けやすい。思わぬ事態の急変で中国ビジネスが頓挫したが、生き残るためには中国への輸出だけに頼らないリスクヘッジが必要だったともいえる。(東京商工リサーチ常務情報本部長 友田信男)