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大学生の長期型インターン、採用拡大 経済同友会が推進し123人受け入れ

 企業が大学1、2年生らを約1カ月間受け入れる長期型インターンシップ(就業体験)が、企業の間で浸透しつつある。経済同友会が旗振り役となって今年4月に立ち上げた、「一般社団法人・経済同友会インターンシップ推進協会」が、企業と大学・高専のパイプ役となり、今夏から秋にかけ、24社が14大学・高専の学生123人を受け入れた。長期型が始まった2016年度のほぼ倍の実績。実質的に企業の採用選考の場となった「短期型」と一線を画し、欧米のように学生の就労意識を養う産学連携の学びの場として定着できるか、注目される。

 同協会は、企業25社と17大学、国立高等専門学校機構で構成され、同友会の櫻田謙悟代表幹事が会長を務める。(1)大学1・2年生と高専本科4年生・専攻科1年生を対象(2)大学・高専は受講者に単位を付与(3)実習期間は4週間(4)受け入れ企業は交通費・宿泊費を支給-の4原則を運営の基本とする。

 同友会が長期型に取り組み始めたきっかけは、インターンシップを就活、採用選考と切り離し企業と大学が次世代人材育成で協力する「学びの一環」に位置づけた、教育改革委員会がまとめた15年度の提言にある。翌年度から実践に移し、16社が11校(計67人)の学生を受け入れた。

 今月2日には、19年度の実習成果報告会が東京都内で開かれ、今年初めて学生を受け入れたKDDI、損害保険ジャパン日本興亜と、KDDI、野村証券、第一生命保険で長期型を受講した3学生が、それぞれ実施内容を発表した。協会設立初年度を総括して横尾敬介代表理事(産業革新投資機構社長)は「報告会では企業会員の意欲も学生の気付きも感じられた。協会をさらに盛り上げていきたい」と語った。

 同協会の会員には日本を代表する企業が多い。特に企業との接点に乏しい地方の学生にとっては、企業活動を実体験でき、働く価値を認識するなどキャリア形成につながる。長期型が普及すれば、学生も早い段階から企業への理解が深まり、ミスマッチの解消にもなる。

 新卒採用をめぐっては、21年の新卒採用から経団連による就活ルールが廃止され、大きな転換期を迎える。経済同友会が推進するインターンシップは、節目を迎える新卒採用に一石を投じる可能性もある。(鈴木伸男)

 経済同友会インターンシップ推進協会の正会員

 【企業】野村ホールディングス▽凸版印刷▽花王▽三菱ケミカル▽デュポン▽第一生命保険▽ANAホールディングス▽三井住友銀行▽キッコーマン▽コニカミノルタ▽日本航空▽みずほ証券▽コマツ▽シーエーシー▽JR東日本▽日本カーバイド工業▽住友林業▽日本信号▽久慈設計▽KDDI▽損害保険ジャパン日本興亜▽三井不動産▽ケマーズ▽ユー・エム・アイ▽キッツ

 【大学など】北海道大▽小樽商科大▽岩手県立大▽東北大▽新潟大▽埼玉大▽お茶の水女子大▽聖心女子大▽昭和女子大▽上智大▽東洋大▽工学院大▽龍谷大▽山口東京理科大▽高知工科大▽九州大▽琉球大▽国立高等専門学校機構

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