【エンタメよもやま話】さて、今回ご紹介するエンターテインメントは、またまたGAFA(ガーファ=グーグル、アップル、フェイスブック、アマゾンの略)に関する話題です。
今年6月、米交流サイト大手フェイスブックが来年をめどに、仮想通貨の「リブラ」の発行を計画していることが明らかになり、世界に衝撃を与えました。
米フェイスブックの発表資料などによると、現在、全世界で銀行口座を持っていない10億人以上の人々に金融サービスを提供するのが狙いで、これを使ってモノを買ったり、ユーザーからユーザーへの送金も可能になるといいます。しかし、10月に行われた20カ国・地域(G20)財務相・中央銀行総裁会議でも、各国の金融システムの安定が揺らぐ可能性が指摘され、厳しい規制が必要であるとの見方で一致。今後の動きは不透明です。
ところがここにきて、米フェイスブックのライバル、米グーグルが金融ビジネスに関する事業の計画を発表し物議を醸しているのです…。
銀行の口座いらない。グーグル経由で送金や給与…ただし
11月13日付の米紙ウォールストリート・ジャーナル(WSJ、電子版)がスクープし、これを後追いする形で同日付の米CNNや米経済ニュース専門局CNBC、英紙ガーディアン(いずれも電子版)など欧米主要メディアが一斉に報じているのですが、米グーグルが来年から、米銀行大手シティグループと米の名門スタンフォード大学(カリフォルニア州)の信用組合と提携し、個人向けの当座預金口座のサービスを開始する計画を進めていることが分かったのです。
IT(情報技術)業界のこれまでの金融がらみの取り組みといえば、クレジットカードや銀行口座で支払いと受け取りができる「ペイパル」のように、決済サービスにからむものだけでした。ところが今回の米グーグルの計画は銀行業務への参入にあたるため、「当座預金口座のサービス開始は、金融サービス分野に進出している米の大手ネット企業としては最新の事例である」(米CNN)などと騒ぎになっているわけです。
関係者によると、システム面で米グーグルは表に出ず、黒子に徹するといい、実際はシティグループといった提携先の金融機関が米グーグルの決済サービス「グーグルペイ」を通じて当座預金口座のサービスを提供する計画ですが、米グーグル側が口座開設などにからむ手数料を請求するかどうかは今のところ、未定といいます。
この計画、社内では「Cache(キャッシュ)」というコードネームで呼ばれているとのことですが、いずれにせよ、このサービスが始まれば、ユーザーは自分の銀行口座を利用しなくても、米グーグルを介して給与の受け取りなどができるようになるのです。
このサービスなどの担当責任者である米グーグルの幹部シーザー・セングプタ氏は英紙ガーディアンに「われわれの取り組みは、銀行や金融システムと深い関係を築くことです」と述べ「われわれの支援によって、より多くの人々がオンラインでより多くのことを行えるようになれば、それはインターネットにとってもわれわれにとっても素晴らしいことです」と訴えました。
今回の米グーグルの取り組みについて、専門家らは、予想された流れであるとの認識で受け止めています。
米ウェドブッシュ証券のエクイティ(株主資本)部門のリサーチを担当するマネージングディレクター、ダン・アイブス氏は米CNNに対し「米グーグルは消費者との関係を深めるため、金融業界に参入しようとしている」と述べ「同社は消費者の人生の中で比類ない地位を築いており、彼らはそうした現在の立場をてこ入れしようとしている」と分析。また、デジタルビジネスなどに対応する大手コンサルタント会社、米ピュブリシス・サピエントでテクノロジー・バンキングの専門家として活躍するデヴィッド・ドノバン氏は前述のガーディアン紙にこう予想します。
「新たなテクノロジーが補強する確かな経験に慣れ親しんだ新たな人口層が存在する一方、銀行は過去から引き継いだ昔ながらの技術を背負い込んでいます。そのため銀行業界は、デジタル技術に慣れ親しんだ顧客への即応性を高めるため、アップグレードするか、IT(情報技術)企業の助けを借りる必要があります。でなければ取り残されるでしょう…」