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オリエンタルランド、北海道で「イチゴ」を通年栽培 ディズニーで提供

 東京ディズニーリゾートを運営するオリエンタルランド(千葉県浦安市)が、北海道弟子屈町でイチゴを通年で生産している。イチゴの栽培に適さない夏場は冷涼な気候を、冬場は温泉熱を生かす。ディズニーランドやディズニーシーの飲食店などで提供しており、同社は「季節を問わず、おいしいイチゴを楽しんでほしい」としている。

 町内の観光名所、屈斜路湖のほとりに5棟のビニールハウスが並ぶ。「イチゴは温度や湿度によって質が変わりやすい。毎日観察し、小さな変化も見逃さないようにしています」。赤い実が数十メートルにわたり連なるハウス内で、島田亮農園長(45)が葉の色などを確認しながら説明した。

 イチゴ栽培の適温は約25度。弟子屈町は暑くても30度を超えることが少ないため、夏場に栽培できるのが強みだ。冬は氷点下になるが、敷地内の泉源からくみ上げたお湯を使った温風機をハウスごとに6台置き、適温に保つ。室温を検知し、温風機の稼働やハウスの窓の開け閉めを自動で行うシステムを使っている。

 イチゴ栽培は2016年に始めた。信州大学が開発した暑さに強い品種を採用し、年間で計約30トンを収穫している。町内の業者にも卸し、土産店などでも販売されている。自社生産に切り替えたことで、夏場でも輸入品に頼らず高品質のイチゴを提供でき、品不足や値段の高騰にも左右されなくなった。

 同社は弟子屈町のほか、千葉県や山梨県の農園でもトマトやパプリカを通年栽培している。本社の担当者は「季節ごとに収穫量が増減する食材もあるが、工夫してより安定した生産を目指したい」と強調する。

 同社の参入を機に、地元も町おこしに乗り出した。通年栽培など一定の条件を満たしたイチゴを「摩周ルビー」と名付け、ブランド化を進める。町は「生産者を増やし、新たな特産品として定着させたい」としている。

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