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将棋盤、復興工事の伐採木活用 宮城・東松島市、年度内に商品化

 東日本大震災で被災した宮城県東松島市で、住民の高台移転に伴う造成工事で伐採されたスギを活用した「復興将棋盤」が開発された。将棋駒の生産量で日本一を誇る山形県天童市の天童商工会議所も協力し、本年度内の商品化を目指す。試作品の一部をメキシコに提供し、海外での普及も狙う。

 通常の将棋盤は縦横各9マスだが、開発したのは6マスの「66将棋」用。駒も少なく、短時間で手軽に楽しめる。66将棋は尚絅学院大(宮城県名取市)の松田道雄教授(58)が考案し、同商議所とともに普及を図っている。

 今年1~3月にあった仙台市の生涯学習講座で、松田さんが66将棋を題材とした地域おこしについて紹介。聴講していた東松島市の市民協働課の難波和幸さん(50)が、造成工事の伐採木を素材に将棋盤を作ることを思い付いた。難波さんは、同市で工房「木遊木」を営む石巻市の木工職人、遠藤伸一さん(50)に開発を提案。3月に試作品が完成した。

 難波さんは「66将棋を指しながら、盤に込めた関係者の思いを感じ取ってほしい。震災の風化を防ぐ一助になれば」と期待。松田さんは「この将棋盤が国内外で親しまれ、地域の活性化やコミュニティーづくりに役立てばうれしい」と話す。

 復興将棋盤は木製の他、主に女性をターゲットにデンマークの刺繍(ししゅう)技術を応用した布製、畳の風合いを楽しめるイグサ製もある。東松島市は、2020年東京五輪・パラリンピックの出場選手らに東日本大震災の復興支援への感謝を伝える「復興ありがとうホストタウン」として、同国と交流する。

 布製を製作した同市の手芸グループの芳賀朋子代表(50)は「ぜひ手に取って、震災復興への関心を新たにしてほしい」と願っている。

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