だが置き配に否定的な利用者の場合、何かトラブルがあればクレームにつながりやすく、自身で置き配をスムーズにするような工夫もしないので、トラブルの発生頻度も高くなる。事業者にとっては、あまり付き合いたくない顧客ということになるだろう。
そうなってくると、アマゾンのような事業者は、置き配に積極的でトラブルが少ない利用者の優遇を強化する可能性が高い。場合によっては価格やポイント、各種キャンペーンでの優遇に差をつけることも十分に考えられる。
置き配をフル活用できる利用者は、時間を有効に使えるので、自身の生活も効率化され、しかもリーズナブルに商品を購入できる。一方、そうでない利用者は時間が有効に使えず、高い買い物を強いられてしまう。置き配の普及は、一種の経済的、社会的な格差すら引き起す可能性があると筆者は見ている。
筆者自身は、「お客様は神様である」という言葉はあまり好きではないが、消費者はそれなりに事業者に要求してもよいと考えている。だが、利用者は謙虚であるべきという今の日本社会の声が正しいものであるならば、置き配を選択しない利用者が不利に扱われることに不満を言うのは、アンフェアということになるだろう。(ITmedia)