ぐるなびのチョットぐな話

第3の肉「フェイクミート」に注目

 大豆などでつくられた「フェイクミート」が注目されている。海外では肥満や生活習慣病対策への期待や、フレキシタリアン(準菜食主義)に支持されている。国内では代替肉のイメージが強いが、飲食店でのメニュー化により、畜産肉、魚肉に続く“第3の肉”としてトレンドの兆しがある。

 フェイクミートとは、大豆など植物由来のタンパク質を加工して肉に見立ててつくられたもの。「植物肉」や「プラントベースミート」とも呼ばれ、食料問題や地球温暖化の観点からも注目されている。畜産牛の呼吸や排泄(はいせつ)物が温室効果の高いメタンガスを多く排出することが気候変動の一因とされたことで、畜産肉に代わる肉として注目され、食料難にも対応できると期待される。

 米国では既に、大手ハンバーガーショップでフェイクミートを使用したハンバーガーやナゲットが販売されている。肥満や生活習慣病に悩む人が多い同国では、カロリーの低いフェイクミートへの期待が高い。日本へ目を向けると、1975年に「日本植物蛋白食品協会」が発足するなど歴史は古いが、ハムやかまぼこなど加工食品の原材料として口にすることが多かった。

 東京メトロ丸ノ内線・都営地下鉄新宿線の新宿三丁目駅から徒歩2分の場所にある「パンとサーカス」は、“新宿ナンバーワンの肉の種類が食べられる”とうたう肉バル。牛・豚・鳥のほか、各種ジビエ肉やカンガルー、ワニ、ラクダなど珍しいものまで、常時12種類以上の肉を取りそろえている。

 そんな同店で、12月30日までの期間限定で「フェイクミートフェア」を開催している。フェアでは、「牛・鹿・コオロギ・フェイクミートの4種ミートボール」など、フェイクミートを使った5種類のメニューが食べられる。

 同店を運営する宮下企画(東京都新宿区)の広報担当、宮下慧さんは「フェイクミートを、肉の代替品ではなく、新しい肉の選択肢として提案したい。牛肉などとは違う新しい味覚の肉。常に新しい肉を求めている当店にぴったりの食材。フェアでは他の肉との食べ比べができるメニューを用意しているので、違いを楽しんでほしい」と話した。

 フェイクミートがビーガン(完全菜食主義者)専門店で多く扱われている現状もあり、「肉を好きな人と、肉が食べられない人が一緒に食事を楽しめる場になれば」と期待を示す。

 同店にフェイクミートを卸す、ベジタリアンブッチャージャパン(同豊島区)の村谷幸彦さんは、国内でのフェイクミートの追い風は強いと予想。「日本で提供を始めて1年半になるが、大手外食企業からのメニュー化の話もある。欧州では、9割を占めるといわれるフレキシタリアンらに支持され、多くの店で肉のソーセージやハムと一緒に並んでいる。日本にも近くその波が来るのではないか」と語る。

 国内でも長らく健康志向が続いている。トレンドの先取りとして、また、今後の新しい選択肢として食べてみてはいかがだろうか。

 ■ぐるなびwww.gnavi.co.jp

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