現場の風

SIGNATE AI人材、課題解決型教材で育成

 SIGNATE シニアデータサイエンティスト・高田朋貴さん

 --10月から開始した「SIGNATE Quest(シグネイト クエスト)」はどんなサービスか

 「AI(人工知能)人材を育成するためのオンライン教材だ。こちらから何かを細かく教えるのではなく、実際にあった事例を基にした課題をいくつも用意し、受講者が課題に取り組みながら実務で役立つ知識を身に付けられる。初心者が基礎的なスキルを学ぶ『ジム』と、開発者の立場でストーリー仕立てでAI開発を疑似体験する『クエスト』という2種類のコースがある」

 --課題解決型の教材にした理由は

 「SIGNATEはAI開発のコンペティション・サイトを運営しており、企業からAIを使った経営課題を募集し、サイトに登録した会員に課題に対応するAIの開発で競ってもらうビジネスを展開している。これらを通じ、実際のデータに触れて課題への挑戦を何度も繰り返すのは非常に教育効果が高いのではと考えた。クエストは食品メーカーにおける廃棄ロスの削減や金融における債務不履行リスクの低減といった課題が多数用意されている。課題は1日30分やれば2週間ほどで終えられる内容で、短期間で多くの経験が積める」

 --世界的にAI人材が不足しており、国を挙げた育成が課題になっている

 「企業にはAIを活用したいが、何をしたらいいのか分からないという声は非常に多い。AIの活用を企画・立案できる人材が少ないからだ。AIを開発するデータサイエンティストだけでなく、事業と開発を結び付ける『AI活用人材』の育成にも注力し、AI人材の裾野を広げたい。ゼロから始める人が学べるようなコンテンツの充実が課題になる。第1号案件として経済産業省主体で推進するAI人材教育プログラムに採用されたが、企業や地方自治体の関心も高く、手応えを感じている」

【プロフィル】高田朋貴 たかだ・ともき 明大院理工学研究科博士後期課程修了。2015年オプトホールディング入社。AI開発のためのコンペティション設計コンサルティングなどに従事し、SIGNATE入社、19年4月から現職。神奈川県出身。

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