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原発トップランナー、関電に不安 国内原発にも影響 (1/2ページ)

 平成23年の東日本大震災後、5年以上かけて4基の再稼働にこぎつけていた関西電力。残る3基も安全審査に合格しており、役員らが多額の金品を受け取っていた今回の不祥事の発覚は、来年以降に順次再稼働させていこうとしていた矢先の出来事だった。市民の不信感などから地元が態度を硬化させ、今後の再稼働に障害となる可能性もある。原発のトップランナーの関電のつまずきは、国内の原発施策にも影響を及ぼしそうだ。

 27日に記者会見した岩根茂樹社長は「信頼回復を進めていきたい」と声を絞り出した。ただ、高浜原発が立地する福井県高浜町では「一時的にあずかったという関電側の説明は不誠実で信用できない」(50代女性)など、不信感が広がる。

 関電は国内9電力で初の原発の営業運転にこぎつけ、福井県内に11基を建設。震災前は電力の約半分を原発でまかない「原発王国」を築いた。

 震災後に全原発が停止、4年連続の赤字や2度の電気料金の値上げなどがあったが、高浜3、4号機を皮切りに大飯3、4号機(同県おおい町)も再稼働。現在国内で稼働する原発9基の約半数を占める。来年以降も再稼働が見込まれるなど、停滞する国内原発の再稼働でトップを走ってきた。

 そのなかでの不祥事に関電関係者は27日、「朝から地域住民の対応に追われている。説明が必要だ」と話した。ただ、社内では「今後再稼働に反対する声が強くなるのでは」との懸念の声が広がる。再稼働には地元同意が必要なためだ。

 政府は昨年7月に閣議決定した「第5次エネルギー基本計画」で、令和12(2030)年度の電源構成に占める原発の比率を20~22%にするとの目標を盛り込むなど、原発を「重要なベースロード電源」と位置づけている。

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