日産自動車は9日、西川(さいかわ)広人社長が16日付で辞任し、山内康裕最高執行責任者(COO)が暫定的に後任社長に就くと発表した。西川氏は、株価連動報酬を不当に上乗せして受け取っていた問題の責任を取る形だ。指名委員会が10月末までに後継者を決める。日産はまた、前会長のカルロス・ゴーン被告らの事件について被害総額が350億円以上になるという調査結果を明らかにした。
日産は取締役会後、取締役会議長の木村康社外取締役らが横浜市の日産本社で記者会見し、西川氏の辞任とゴーン被告の事件の社内調査結果を公表。旧体制下ではびこった、コーポレートガバナンス(企業統治)不全からの決別を図る。
木村氏は西川氏辞任について、「次の世代にバトンタッチする意思を持っていたところ、(社内調査結果発表という)大きな節目を迎えたため」と説明。背景に、不正報酬問題の影響があることも否定しなかった。ただ、監査委員長を務める永井素夫氏社外取締役(元みずほ信託銀行副社長)は、「西川氏が多くの報酬を得ようとして指示したことはなかった。(部下に)任せたことがルール違反だった」と意図的な不正を否定した。