千葉市は4日、市内を走る千葉都市モノレールの延伸計画を廃止すると発表した。計画が廃止となるのは、千葉みなと駅(中央区)と県庁前駅(同)を結ぶ1号線を市立青葉病院(同)まで延伸する「病院ルート」(3駅、1・9キロ)。計画前の段階だった2号線の穴川駅(稲毛区)とJR稲毛海岸駅(美浜区)を結ぶ「稲毛ルート」(6駅、4・3キロ)についても構想を断念する。
病院ルートは、平成21年に初当選した熊谷俊人市長が財政難を理由に計画を凍結。市は昨年度から事業化の可否を判断するため再検証を進めてきたが、延伸しても採算が取れないと判断した。
市によると、病院ルートの概算整備費は196億円。延伸により1日当たりの利用者数は3200人増えるものの、費用便益比(投資効率)は0・87で、事業が妥当とされる1を下回った。延伸計画の凍結前に市が示していた試算(17年3月)では、概算整備費が176億円、1日当たりの利用者数が約8770人、費用便益比が3・57だった。
市では「(計画凍結前の試算時には)規制緩和で撤退したバスの乗客をモノレールにシフトできるという考えがあったようだ。見通しが甘かった」としている。
市は今回、稲毛ルートについても初めて試算。結果は概算整備費が494億円、1日当たりの利用者数が1200人で、費用便益比は0・73だった。
同モノレールは、千葉みなと駅を起点に市役所前駅(中央区)などを経由して県庁前駅へとつながる1号線と、千葉駅(同)を起点として、住宅地の千城台駅(若葉区)に向かう2号線の2路線計18駅で構成されており、営業距離は2路線で計15・2キロ。昭和63年に千葉県、千葉市などの共同出資で開通したが、利用者が伸び悩み、県は平成18年に事業から撤退している。