政府は今月28~30日に横浜市で開くアフリカ開発会議(TICAD)で採択する首脳宣言に、アフリカで一部の国が債務超過に陥っている問題への「懸念」を明記する方向で調整に入った。中国がインフラ整備に際して多額の資金を貸し込む「借金漬け外交」を牽制(けんせい)し、中国主導の開発への警戒感をアフリカ諸国と共有する狙い。政府筋が11日、明らかにした。
高い成長が期待され、中国が巨大経済圏構想「一帯一路」に基づく投資で急速に影響を強めるアフリカに対し、日本も関係強化を進めていることが背景にある。
TICADはアフリカの開発や支援をテーマに日本が主導する国際会議で、開催は2016年以来。アフリカ54カ国と国際機関の代表らが出席する。共同議長を務める安倍晋三首相は、財政健全化に向けた支援策と、日本企業の進出促進策も会議で表明する意向だ。
首脳宣言では、アフリカの一部の国が第三国への債務返済に苦しむ現状に言及。途上国への開発支援に関し、返済能力や施設の開放性に配慮した「質の高いインフラ」整備の重要性を強調する。中国が過剰融資を行い、債務不履行になった相手国が施設の権限を中国に渡さざるを得なくなる「債務のわな」と呼ばれる実態が念頭にある。
全ての人が適切に医療・保健サービスを受けられる「ユニバーサル・ヘルス・カバレッジ(UHC)」の推進や、科学技術分野での協力も列挙する方向だ。
会議の中では、財政の状況を精査し改善策を指南する目的で、債務を抱えるアフリカの国に日本が金融分野の専門家を数年単位で派遣する計画を打ち出す。アフリカからの留学生に日本での就職先を斡旋(あっせん)する取り組みも新たに示し、いずれも賛同を得たい考えだ。