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日産・ルノーにやまぬ隙間風 スナール会長ら、トヨタ車で総会に (2/2ページ)

 両社の協定で、ルノーは日産の総会で会社側が出した取締役選任案に賛成する義務を負う。しかし、定款変更議案に関してはルノーに選択権がある。実際に棄権すれば両社の関係悪化は深刻な状態になるため、「脅しにすぎない」(関係者)という見方もあったが、日産にはなすすべもなく結局、ボロレ氏が監査委員会委員に就くことで両社は折り合った。

 スナール氏らはルノーの首脳だが、日産の取締役としては当然、日産の利益を優先して行動する義務がある。それを無視して公然とルノーの利益を追求する姿勢は、定時株主総会の質疑でも株主から追及された。

 「4月の臨時総会では、『献身的に日産の将来をよくするように取り組む』と言っていたが、あなたは直前になってから棄権すると言い出し、委員会人事を勝ち取った。アライアンス(企業連合)のパートナーとして、背信行為ではないか」

 これに対し、スナール氏は「私の意図に変わりはない。会社、従業員の幸せのために取り組む。(両社の関係は)思ったよりも悪い状態だったが、私は全力で円滑化に努力してきた。また、日産の会長職を求める権利はあったが、諦めた。日産の誇りを重んじたからだ」と強調した。

 ルノーの筆頭株主のフランス政府は、以前から日産との経営統合を求めてきた。スナール氏もその意向に配慮せざるを得ず、苦しい立場だとの見方もある。

 総会の会場では開催前にちょっとした“事件”が起きていた。宿泊先のホテルから横浜市の会場に車で移動したスナール氏とボロレ氏。しかし、その車は日産が手配した同社の高級車ではなく、トヨタ自動車のミニバン「アルファード」だったのだ。両氏が日産車に乗らず、ハイヤーを使った理由は判明していないが、企業連合を組むパートナーに対する態度としては異例といえる。

 連携に言及なし

 そして1カ月後の7月25日-。欧米での販売不振などで、日産の19年4~6月期の営業利益が16億円にとどまっていたことが明らかになった。西川氏はリストラを打ち出した一方、遅れていた新車投入ペースを早め、業績回復を目指す考えを示した。使うことができる全ての経営資源を活用したいほどの苦境にも関わらず、会見で事業戦略を説明した西川氏の口から、ルノーとの連携が直接、語られることはなかった。(高橋寛次)

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