三重県地盤の第三銀行系地域商社、ネーブル・ジャパン(三重県松阪市)は、同市の地場産品を発掘して世界に販路を求めるプロジェクトを始めた。ベンチャーキャピタル(VC)大手の日本アジア投資と資本業務提携し、同社の投資先や海外拠点などと連携し、松阪発のこだわりの逸品を世界に発信する。
第1弾として、松阪市内の山林で伐採された杉の間伐材を使った板状のスピーカーを開発した。このスピーカーは幅56センチ、高さ185センチ、厚さ3センチ。音のエネルギーを増幅・収束させて一点に集中し、強いエネルギーにしてから板全体を震わせることで音を出す。音響コンサルタントを手掛ける山の加工場ネットワーク(松阪市)の横浜金平代表による特許を活用した。
試作に当たった浪花千葉音響計画(東京都新宿区)の浪花克治社長は「既存のスピーカーよりも明瞭、ナチュラルで心地の良い音が楽しめる」と話している。販売や施工に当たっては日本住宅パネル工業協同組合の協力を得る。
ネーブル・ジャパンではスピーカーの他にも今後、地元醸造の日本酒やカフェインを含まないコーヒー豆などを市場に投入する計画。浜岡正己社長は「松阪には優れたものづくり企業がたくさんある。将来的に県内全体に広げたいが、まずは松阪で成功事例を出したい」と意気込む。
同社に出資した日本アジア投資の下村哲朗社長は、「培ったビジネスノウハウを提供し、地域の事業を一緒に育てたい。そしてアジアなど海外展開したい企業を応援していきたい」と話している。