今年上半期の紙と電子出版を合わせた出版市場(推定販売金額)は、前年同期比1.1%減の7743億円だったことが25日、出版科学研究所(東京都新宿区)の調査で分かった。紙が同4.9%減の6371億円だったのに対し、電子は同22.0%増の1372億円と、紙の落ち込みを電子でカバーした形となった。とりわけ電子コミックは前年同期比3割近く増加し、海賊版サイト「漫画村」が閉鎖された影響とみられる。
紙の書籍は同4.8%減の3626億円。樹木希林さんの『一切なりゆき』(文春新書)などベストセラーは出たものの、昨年の『漫画 君たちはどう生きるか』(マガジンハウス)などのように市場全体を牽引(けんいん)する作品は少なかった。
紙の雑誌は同5.1%減の2745億円。13.1%減だった前年同期と比べると、減少幅は抑えられた。雑誌扱いとなる漫画単行本は、映像化作品のヒットが相次いだことなどにより約5%増と好調だった。
電子は、電子コミックが同27.9%増の1133億円と大幅に数字を伸ばした。同研究所は好調の要因について、海賊版サイト「漫画村」が昨年4月に閉鎖された影響を指摘。さらに、漫画を1話ごとに読ませる「話売り」や、試し読みなどの集客キャンペーンにより、読者層が広がったためとみている。