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原告団、三菱重工の資産売却申請 徴用工訴訟で3社目

 いわゆる徴用工訴訟をめぐる三菱重工業への損害賠償問題で、原告を支援する市民団体は23日、南西部の光州で記者会見し、既に差し押さえた韓国内の同社資産の売却を裁判所に同日申請したと表明した。原告側は賠償に向けた協議の回答期限を今月15日に設定していたが、同社は態度を示さなかった。

 日本企業の資産売却申請は3社目。日本政府による対韓輸出規制強化をめぐり日韓の溝が深まる中、企業に実害が出ないよう求める日本政府と、司法判断を尊重すべきだとする韓国政府の対立の先鋭化は避けられない。

 原告側は会見で「三菱重工業は3回にわたる賠償協議の要請を黙殺した」と批判。協議に応じないよう日本政府が働き掛けているとし「裁判所の判決を尊重するのは民主国家の常識だ」と訴えた。売却手続きの完了までには少なくとも数カ月かかるとしている。

 一連の訴訟をめぐっては、安倍晋三首相が参院選後、韓国政府に対して解決策の提示を改めて求めたことに韓国側で反発が広がっている。韓国政府は、既に両国企業の出資による賠償案を提示したとの立場を強調。双方の主張はかみ合わず、建設的議論が困難な状況だ。同種訴訟では、昨年10月に原告勝訴判決が確定した新日鉄住金(現日本製鉄)の訴訟と、上告審が続いている不二越の訴訟の原告が、差し押さえた両社資産の売却を既に裁判所に申請している。

 三菱重工業訴訟では昨年11月、韓国最高裁で2件の判決が確定。これを受け元挺身隊員らが同社の商標権などを差し押さえた。原告4人分の損害賠償金など計約8億ウォン(約7300万円)に相当する価値があるとみられている。(光州 共同)

 三菱重工業の広報担当者のコメント「日本政府と連携して適切に対応していきたい」

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