日本の総合商社が、アフリカ農村部の無電化地域で、小型の自家用太陽光発電「ソーラーホームシステム(SHS)」の販売事業に相次いで参画している。スマートフォンが急速に普及し、スマホ決済による確実な資金回収が参入を後押しした。中国や欧州勢が先行するアフリカで、新たなビジネス展開の足掛かりにする狙いもある。
丸紅は5月、英国のアズーリ・テクノロジーズに約20億円を出資し、ケニアなどでSHSの販売に乗り出すことを決めた。電気の通らない地域の中間層をターゲットに太陽光パネルや蓄電池、テレビなどの機器一式を割賦販売する。
商社によると、アフリカでは、送配電網の整備の遅れから6億人以上が無電化地域で暮らしているとされる。照明には灯油ランプが日常的に使われており、太陽光発電の導入は環境負荷の軽減につながると期待する。
アズーリは既に保険の販売など現地ネットワークを駆使したビジネスを推進。丸紅は充電式の発光ダイオード(LED)ライトを、小売店を通じて住民に貸し出す事業をタンザニアで手掛けるワッシャにも出資しており「2社を拠点に新たなサービス供給を目指す」(丸紅広報)。
このほか、三井物産と住友商事は昨年、ケニアやウガンダを拠点とするSHS事業大手エムコパにそれぞれ出資。三菱商事はフランス電力公社と組んでコートジボワールを中心としたSHSのレンタル事業に参画し、今後は法人向け電力供給事業への参入も検討する。
横浜市で日本政府主導によるアフリカ開発会議(TICAD)が8月に開催されるのを前に、商社の取り組みに改めて注目が集まりそうだ。