鉄道業界インサイド

トイレ設置、着席機会増加も… JR中央線グリーン車導入に潜むリスク (1/3ページ)

枝久保達也
枝久保達也

 5月末からJR中央線快速でトイレを設置した車両の運行が始まった。東京駅から高尾駅までは中央特快を利用しても約1時間、大月駅まで乗り入れる一部の列車では乗車時間は最長1時間40分を超えるため、トイレ設置を歓迎する利用者も多いだろう。ただし、トイレが設置された列車でもまだ使用することはできない。使用開始は車両基地に汚物処理施設が設置される今年度末以降で、また58編成全ての編成にトイレの設置が完了するのは2023年度の予定だから、当面はトイレのある列車とない列車が混在することになるので注意が必要だ。

 JR東日本は中央線の東京寄り4両目・5両目に2階建てグリーン車を連結して12両編成化し、2023年度から東京駅~大月駅・青梅駅間でグリーン車サービスを開始する計画を進めており、車両へのトイレ設置はこの一環として進められているものだ。

 なぜグリーン車とトイレが関係するかというと、公共施設のバリアフリー化促進を目的としたバリアフリー新法が「便所を設ける場合は、そのうち一列車ごとに一以上は、車いす使用者の円滑な利用に適した構造のものでなければならない」と定めているからだ。

 グリーン車に設置されるトイレは名目上グリーン車の利用者専用の施設であり、またスペースの面からも車いす対応とすることができない。基準を満たすためには、その他の車両に車いす対応の大型トイレを整備する必要があるというわけ。最終的に12両編成の4号車グリーン車と6号車普通車にトイレが設置される計画だ。

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