高論卓説

スタートアップ企業が出資受けるには (1/2ページ)

特異なビジネスモデルを特許化

 昨今、スタートアップ企業における知的財産保護に関するニュースをよく目にする。特許庁もスタートアップ企業における知財保護には積極的であるし、スタートアップ企業と知財という取り組みはかなり盛んである。今回は、スタートアップ企業が出資を受けるときに特許がどのように関係するのかということについて述べたい。

 まず、スタートアップ企業には資産も売り上げもないから、スタートアップ企業の企業価値を的確に評価するのは非常に難しい。優れた技術やビジネスモデルがあったとしても、それらの技術やビジネスモデルそのものを投資家に理解させることは難しい。これまで前例がない分野だと特にだが、基準がないのだ。

 出資の本質は、そういった技術やビジネスモデルの評価をいかに的確にできるかに尽きると思うが、「エンゼル」のような個人投資家であればまだしも、組織としての日本のベンチャーキャピタル(VC)が果たしてそこまでリスクをとれるのか。

 しかし、これらの技術やビジネスモデルが特許化されていれば評価に結びつけやすい。国家が新規性や進歩性という形で評価を与えてくれているからだ。また、これら技術やビジネスモデルを特許出願するには出願明細書というものを作成する必要があるのだが、当然のことながら、その過程で、これらの技術やビジネスモデルが言語化される。

 この明細書を読めば、出資者としても、どのような内容なのかを確認することができる。もちろん、スタートアップ企業の方で事業計画を作成し、VCもそれを読んで理解するのだろうが、投資の対象である技術やビジネスモデルをしっかりと理解するには、より詳細に記載された明細書を読むのがよいだろう。

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