日本製鉄が、薄い鋼板を骨組みに使う住宅「スチールハウス」の販売拡大に力を入れている。耐震性と耐火性が高く、建設費用も安いのが特徴だ。工場でパネルを造り、現場で組み込むため工期が短く、人手不足にも対応できる工法とアピールしている。
壁には腐食しにくいメッキ鋼板に特殊な穴を開け、地震のエネルギーを逃がす仕組みを採用した。スチールハウス全体を断熱材で覆っており、燃えにくい上、夏は室内温度の上昇、冬は低下を抑える。
鉄筋コンクリート造りに比べ建設コストは約2割低く、工期は約3割縮小できるという。日本製鉄の君津製鉄所(千葉県君津市)近くに建設中の社宅では、33日間で上屋の工事が終了した。
スチールハウスは阪神淡路大震災後に米国から輸入され、2001年に国内で正式工法として認められた。東日本大震災の際は日本製鉄の工法が岩手、宮城、福島3県で計23棟436戸の復興住宅に採用された。近年は徐々に普及が進み、日本製鉄グループは17年度に全国で一戸建てを含め約600棟を手掛けた。
日本製鉄の関連会社で住宅開発を手掛けるNSハイパーツ(岐阜県可児市)の橋本伸一郎社長は「今の建築課題は安全性、省エネ、現場省力化の3つ。これらに応えるのがスチールハウスだ」と話している。